小児歯科医の独り言 福岡の小児歯科医院での死亡事故??

先日、ネットを見ていると2歳の女の子が福岡の小児歯科医院で治療を受けた後、容体が急変して

死亡したという記事を目にしました。死因は低酸素脳症ということでした。2日前にも朝の情報番組で

放送していました。本当に痛ましいことです。死亡したお子さんの御冥福を心からお祈りいたします。

事故か病死かの判断は少ない情報で行うことはできませんので、アンフィラキシーだ、局所麻酔中毒だと

ネットや情報番組で出ておりますが、ここで僕の見解を書くのは止めておきます。

ちなみにこの件についてどう書こう?と迷っている内に日本小児歯科学会から会員宛にメールが届きました。

どうやら当該医院は小児歯科専門医ではなく標榜医とのことです。

(この違いについては以前、書きましたので省かせて頂きます)

だからよかったというわけではありません。専門医は絶対にこのようなことを起こしてはいけない責任があると考えているからです。

もし、この事例が事故であって当事者が専門医であった場合、専門医の基準や選定方法を変えなければならないほどの一大事です。

専門医はそれだけ重いものだと思います。

仮に処置と関係の無い病気であったとして報道で言われているように、

現場にいた院長が女の子の目の焦点があわず唇が紫青色になっているにも関わらず

良くあることで片づけたことや処置終了後に子どもの異変に術者ではなく両親が気づくということは

専門医であれば考えられないと僕は思います。

まず、目の焦点があわず唇が紫青色になっている状態は良くあることではないと思います。

僕も術中に患者さんの唇が青紫に変色した経験を1度だけしましたが、それはてんかん発作に伴うチアノーゼでした。

僕は25年間、小児歯科に身を置いていますが、そういった既往症を持っている患者さん以外でそうなる事例を知りません。

次に術後に両親が気づいたということですが、子どもを網で固定して治療する際、小児歯科医であれ

ば、事故の可能性を考えて準備し絶えず子どもの変化に注意を払うよう教育されていると思います。

歯だけを見て治療をしていません。

治療者もスタッフも絶えず子どもの泣き声の調子や顔色に神経を尖らせていますし、

保護者は必ず一緒に入ってもらって様子がおかしいと思ったらすぐに知らせてもらえるよう伝えます。

世間では治療中、生体モニターを付けることを推奨する声もありますし、それはそれでよいと思いますが、

それ以前に子どもは治療中に多くのサインを出していることを術者は全身で感じ取らなけれなりません。

それが出来ないのであれば子どものからだを抑制して治療する資格が無いと思います。

それだけ網による身体抑制は危険が多く安易に行ってはいけないものです。

これから治療で使用した器具や方法をやり玉にあげる議論が起こることが予想されます。ゴムのマスクがダメだとか。網がダメだとか。(小児歯科学会はその手のコメントに抗議文を出したそうですが)

でも、それは子どもの歯科治療を考える上で選択枝を狭めるだけで

本末転倒だと思います。何が問題か?それは術者やスタッフの意識の問題だと思います。


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